泣き続ける私の頭を、蘭は優しく撫でてくれる。

「蘭、大好き」

「私も、大好きだよ」

 お互いにぎゅっと抱きしめ合う。

「でもさ、でもぉ……私、流斗さんのことも本当に大切で、好きなんだよぉ!
 自分の気持ちがもう、よくわからないのぉ~!」

 蘭の胸の中で、しゃくりあげながら感情をぶつける。

「うん、うん。わかってるよ。
 二人とも最高の男だもんね。だからこそ、悩んじゃうよね……。
 でもこれは、唯が自分の気持ちと向き合って、答えを見つけるしかないんだよ」

 母親みたいに優しい目で見つめる蘭。
 私は胸元からそっと顔を上げ、小さく頷いた。

「……うん。わかってる。ありがとう」

 その言葉を耳にした途端、蘭が勢いづいた。

「よしっ! こうなったら今夜はとことん語り合おう。
 ジュースもう一杯持ってくるから、待ってて」

 そう言ってお盆を手に、部屋から出ていく。

 私は涙を拭いながら、
 一人きりになった部屋で、蘭への感謝をそっと噛みしめた。

 そして心の奥で――あの二人のことを、静かに想い続けていた。