私がじっと見つめると、蘭はふっと笑った。

「唯はさ、自分の気持ちに正直でいてほしいな。
 結果がどうなっても、大丈夫。みんな、きっと受け止めてくれるよ。
 だって、咲夜さんと流斗さんでしょ?
 どっちを選んでも、唯のこと幸せにしてくれると思う」

 深呼吸ひとつ。
 そして、まっすぐに見つめてくる。

「それと……咲夜さんのことだけど」

 一瞬、言葉を選ぶように間を置いて――力強く続けた。

「兄妹だからって理由だけで、諦めないでほしい。
 義理の兄妹なんだから、法律で禁じられてるわけでもないし。世間の目なんて気にしなくていい。
 あとは唯が、勇気を出すだけ。
 本気で咲夜さんのことが好きなら、頑張って想いを伝えなくちゃ。
 私の大好きな唯なら、きっとできる!」

 そう言って、蘭が私の手をぎゅっと握る。

「大丈夫。もし失恋して泣きたくなったら、私が全部受け止めてあげる。
 私はずっと唯のそばにいるから」

 その優しさが胸いっぱいに染み込んでくる。

「蘭~~っ!」

 堪えきれず、蘭の胸に飛び込んだ。

 そして――泣いた。

 こんなにも心強くて、優しくて、あったかい親友がいてくれる私は……本当に幸せだ。