気まずいな……。
視線を逸らしながら答える。
「でもさ、あんまり優とは話さないんだよね。よく知らないよ?」
そう言うと、蘭が不貞腐れたような声を出した。
「えー? でも今、一緒に暮らしてるんでしょ?」
――はっ。
そうだった、そういう設定だった……すっかり忘れてた。
頬をかきながら、たじたじと返事をする。
「うん、まあね。でも男と女だし、なんとなく距離はあって。
あ、でもお兄ちゃんの方が詳しいかも!」
話題を兄に放り投げた。
ごめん、お兄ちゃん、と心の中で手を合わせる。
蘭が残念そうにため息をもらす。
「ふーん、つまんないの……。ていうか、ほんと似てるよねえ」
顔がぐいっと近づいてきて、逃げるようにのけぞる。
ちょ、近すぎるってば!
「な……何が?」
焦りながら見つめ返すと、蘭は真剣な顔で言った。
「唯って、ほんとに優くんそっくり。
こうやって顔だけ見てると、なんだか優くんと見つめ合ってるみたいでさ……」
蘭がぽーっとした表情で、さらに近づいてくる。
その距離、数センチ。
このままじゃ、キスしちゃうよ……!
「ちょっと! 私は優じゃないってば。しっかりしてよ、蘭!」
私は思いきり肩を押し返した。
蘭は目を丸くすると、あわてて距離を取った。
「わっ、ごめんごめん! 私としたことが……なんか、ぼーっとしちゃって」
顔を赤らめ、目を伏せる。
そんな蘭が可愛くて、ふっと笑ってしまう。
……だけど、心の奥がちくりと痛んだ。
