「おっまたせー!」
勢いよく扉を開けて、蘭が元気に登場した。
手にはお盆。
その上には、オレンジジュースの入ったグラスが二つ並んでいる。
蘭は足で器用に扉を閉めると、お盆ごとローテーブルに置いた。
「お! それ読んでるの? いいよね、それ」
私が暇つぶしに読んでいた少女漫画を指さして、蘭が嬉しそうに笑う。
向かいにどかっと腰を下ろしたかと思えば、グラスを手に取って一気に飲み干した。
「ぷはぁー、うまい!」
その豪快な飲みっぷりに、呆れる。
ほんと、なんなのそのおっさんみたいなリアクション。
……まあ、言わないけど。
見た目は女優並みに綺麗なのに、中身はびっくりするほど男前。
でも恋愛の話になると、乙女度マックスになるから面白い。
「で! 唯、何か悩んでる? この蘭様に話してごらん。聞いてあげる!」
蘭がぐっと顔を近づけてくる。
至近距離すぎて、思わずのけぞった。
近い、近いってば!
――でも、やっぱり心配してくれてるんだ。
私が沈んでいたから、誘ってくれたんだろうな。
優しいな、蘭って。
……なんて思ったのも束の間。
「でもその前に、ちょーっと私の話、聞いてくれる? 優くんのこと!」
がくーっ。
なーんだ、やっぱりそれが本命か。
まあ、蘭らしいけど。
ふっと微笑んで、彼女に向き直る。
「いいよ。夜は長いし。まずは蘭からどうぞ」
こうなったら、とことん付き合おう。
「わーい! えーとねぇ……」
彼女は嬉しそうに笑うと、勢いこんで話し出した。
こうして、私たちの長い恋バナ大会がスタートした。
