蘭の家の門の前。私は一呼吸おいてからチャイムを鳴らした。
久しぶりだから、少しドキドキする。
……しかも、これから話すことも話すことだし。
ほどなくして玄関のドアが開き、蘭が顔を覗かせた。
私の姿を見つけるなり、満面の笑みで駆け寄ってくる。
「いらっしゃーい。さ、入って入って!」
無邪気な笑顔の蘭に引っぱられ、そのまま家へと招き入れられた。
その晩、私はあっけにとられていた。
目の前に並ぶのは、まるでパーティーみたいなごちそうの数々。
誰かの誕生日だったっけ? それとも何かのお祝い?
テーブルの中央には、大きなホールケーキがどんと置かれ、
隣には華やかなサラダが盛られた透明なボウル。
湯気を立てるコーンスープに、ローストチキン、山盛りのご飯まである。
呆然と眺めていると、蘭の両親がにこやかに声をかけてきた。
「唯ちゃん、遠慮せずに召し上がってね」
「若いんだから、いっぱい食べなさい」
私の向かいには、仲良く並んで座る蘭のご両親。
隣に座った蘭が、得意げに笑って言った。
「唯が来るって言ったらさ、お母さん張り切っちゃって!
ぜーんぶ手作りなんだよ」
え、これ全部……?
すごい。
「本当にありがとうございます。私のために、わざわざ……」
私は蘭のお母さんに頭を下げた。
「いいのよ。勝手に盛り上がっちゃって作っただけだから。
それに嬉しいの。こうやって唯ちゃんがうちに来てくれるの」
やわらかな笑みを浮かべる蘭の母の隣では、
イケメンでダンディな蘭の父が、うんうんと頷いて優しくほほえんでいた。
前から思っていたけど――蘭の家族はあたたかくて素敵だな。
まあ、うちも負けてないけど。
「ありがとうございます。いただきます」
お礼を言うと、美味しそうな料理に目を輝かせながら、夢中で頬張った。
