「だって、想いを伝えて……一応、受け入れてもらえたわけで。
つまり正式にお付き合いしてるってことじゃないですか。
そういう状況は、初めてですから。
大好きな子と一緒にいて、緊張しない男なんていませんよ」
流斗さんは、愛おしそうに目を細め、見つめてくる。
その目はまるで、大切なものを見るように優しくて――。
わ、私まで緊張してきた。
――そっか、正式なカップルになったんだ。
そう思った瞬間、胸が騒ぎ出す。
高鳴る胸を手で押さえ、気持ちを落ち着けようとする。
「それに……少し反省しているんです。さっき、唯さんを変身させてしまったこと。
もっと注意を払わないといけないなって。本当に、ごめんなさい」
流斗さんが真剣な表情で、頭を下げた。
「そ、そんな! 謝らないでください。
あれは、私が勝手にドキドキしちゃったからで――」
言いかけて、自分の言葉に赤面する。
な、何言ってるの私!?
これじゃまるで、流斗さんのことを意識しまくってるって言ってるみたいじゃん。
いや、実際そうなんだけど!
「……嬉しい。僕のこと、意識してくれてるんですね。
本当に唯さんは可愛いな。あ、今は優くんって呼ばなきゃいけませんね」
いたずらっぽく笑うその顔に、私もつられて微笑んでしまう。
この人と一緒にいると、不思議と安心できる。
すべてを包み込んでくれるような、あたたかさがあるから。
この人となら、きっと幸せになれる――そう思うのに。
心の奥では、兄の存在がちらつく。
今もそう。流斗さんといて幸せなはずなのに、気づけば兄の姿が脳裏に浮かんでしまう。
どうしたらいいんだろう。
そんなことを思ってしまう自分が、情けなくなる。
流斗さんに申し訳ないよ……。
