加奈さんと優は、たぶん面識がない。私が知る限りは。
でも、もしかすると学校で見かけたことがあるのかもしれない。
いや、それとも――唯に似ているせいで、既視感を覚えているとか?
「えーと……」
困っている私を庇うように、流斗さんが助け舟を出す。
「それはそうでしょう。彼はうちの学校の生徒ですから」
さらに兄も話に加わってきた。
「そうだよ、こいつ最近転校してきたんだ。
学校で見かけたのかもしれないぜ。ついでにこいつ、俺の従弟な」
兄は私を差して、わざとらしい笑顔を浮かべている。
「まあ、そうだったの? 知らなかったわ」
驚いた表情を見せながら、加奈さんが私にゆっくりと近づいてくる。
そして、じっと私の顔を見つめてからニコリと微笑んだ。
「本当に、どことなく咲夜くんや唯さんに似ているわ。
あら? そういえば唯さんは?」
核心を突かれ、私たちは一斉に反応する。
三人の視線が交錯する中、答えを探す沈黙が流れた。
