__あたしが陽と出会ったのは、
小学校2年生の頃だった。
『なにしてるのー?』
そう声をかけてくれたときの、太陽みたいな笑顔を覚えている。
両親を亡くしてから笑顔が少なくなっていたあたしに何度も話しかけてくれた。
春は、お花見をして。
夏は、お祭りに行って、花火もして。
秋は、積もった落ち葉で遊んで。
冬は、2人で1つのマフラーを巻いた。
そうやって重ねて行く日々の中で、陽がくれた手紙。
『あすなー!はい、あげる!』
『なーに?』
『てがみっ』
『え、見ていい?』
『今はだめー!はずかしいから!』
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だいすきなあすなへ
あすながわらったら はるはうれしいよ
あすながないたら はるはかなしいの
そういうときは、はんぶんこするんだってままがいってたよ
これからも ずうっといっしょにいようね
だいすき!
はるより
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なんでもない日にもらった手紙。
あとで訳を聞いたら、
『明日菜のことが好きすぎて書きたくなっちゃったんだと思うよ』
そう言って恥ずかしそうに笑った。
柔らかくて丸い陽の字。
出会ってから毎年、誕生日には手紙をくれた。
中学校に入学してからも、あたしたちはずっと一緒にいて、こんな時間がずっと続いていくと思っていた。
あの日までは……____
