エアコンをつけていても熱気を感じる教室だけど、今日は雰囲気が違っていた。
「テストは終わったけど、夏休みは来週からだぞ!
今週あと2日ちゃんと来いよー!」
そう。
テストが無事に終わって、夏休みまであと2日になっていた。
「っしゃ〜!!」
蓮が叫んでいる。
「ちょっと……うるさいから」
茜は呆れた様子で蓮の頭を叩いた。
「いって」
「ふふふ……」
そんな2人のやりとりに思わず笑ってしまう。
「明日菜……なんか明るくなったよね」
侑に言われてこの間の出来事を思い返す。
「ずっと悩んでたことがあったけど……受け入れられたんだ」
実は、キャンプから帰ってきたあと久しぶりに陽の家に行った。
『明日菜ちゃん、いらっしゃい』
陽のお母さんは温かく迎えてくれた。
遺影に線香を上げ終わると、陽の部屋に案内される。
陽の部屋は、あの頃と変わらないまま残されていた。
お葬式には出たけれど、あたしは精神的に不安定になって2年近く不登校気味になってしまったから、この部屋に来るのは3年ぶりになる。
『ずっと、明日菜ちゃんに見せたいものがあったのよ』
陽のお母さんが引き出しの1番上を開ける。
手に取ったのは、ピンク色のノート。
それは、陽の日記だった。
『持って帰って』
『え、でも……』
陽の手書きの文字。
部屋もそのままだということは、ここにあるものは全部大切に取っておいたんだろう。
『明日菜ちゃんに読んで欲しいの』
『わかりました。ありがとうございます』
