「……明日菜ー?」
その声で目が覚める。
やばい、寝てた……
もう到着したのか。
腕時計を見ると、到着時刻から30分を過ぎていた。
周りを見ると他の生徒の姿はない。
「……あれ…」
「なかなか起きないから、寝かしとこうってことになって、蓮が先生にいろいろ報告してたよ」
「え、そんな勝手に………っ」
やばい。また立ちくらみだ。
「明日菜?」
「……っごめん。実は、昨日楽しみ過ぎて夜更かししちゃって……!」
そう言いながら笑顔を見せると茜は呆れたような顔になる。
「も〜、小学生みたい!心配して損した!行こ!」
「うん」
立ちくらみはもう治まっていた。
先に行った蓮たちのあとを追いかける。
「ごめん、ありがとう」
「大丈夫か?」
「ごめんね、夜更かししちゃって寝不足でさ……」
蓮はあたしの顔をじっと見つめる。
「な、なに?」
「いや……なんでもない」
何?あたしなんか変?
よだれたれてたりしないよね……?
慌てて顔を触るけどそんなことは無いようで安心した。
大丈夫。
笑顔をつくるのは、慣れてるから。
キャンプと言うだけあって、火起こしや焼きそば作りなど、全て自分たちで行う。
その他にも、工作やキャンプファイヤーなど、自然を活かした活動にみんな楽しそうに取り組んでいた。
そして、あっという間に、1日目の夜を迎えていた。
