_蓮Side_
キャンプの事前グループ活動中、斜め向かいで笑っている明日菜の顔を見つめる。
やっぱり、顔色が悪い気がする。
授業中もこっそり寝ていることを俺は知っていた。
夜更かししただけだと笑っていたけど、本当なのか……?
……初めて会ったとき、君は泣いていた。
たった1人で、声を押し殺して泣いていた。
そういう泣き方が癖になってるんだろう。
だから気になった。
君は、何に苦しんでる……?
「屋上って気持ちいいな〜!」
あの日、口から出たのは、アホみたいな台詞で。
でもそんなの、どうでもよかった。
君が泣き止む理由になればいいなと思った。
振り返った君は、悲しい瞳をしていた。
笑っていても、心では笑っていない気がした。
昔から、人の顔色をうかがうのは得意だったから。
一言で表すなら、"諦め"。
この気持ちがなんなのか、わからない。
ただ、君を笑わせてやりたくて。
悲しみが消せないなら、
それが見えなくなるくらい、
上書きしてやろうと思ったんだ。
