___次の日。
『ここ……真鍋!』
『えーと、54ですか?』
『違うなあ〜じゃあ、後ろの……宮本』
『64です』
『お、正解だ、すごいな』
数学は得意な方だった。
問題を解いていると、無心になれる気がして、
両親が亡くなってからよく問題を解くようになった。
『……ムカつく』
聞こえてきたのは、そんな言葉。
驚いて周りを見渡すけど、みんな前を向いている。
今のは、誰……?
それからの毎日は、少しずつ、確実にあたしの心にダメージを負わせた。
机の上に置いていたペンケースが、床に落ちていた。
ファスナーが開いて、中身が散らばっている。
『ごめーん。落としちゃった〜』
わざとらしく笑う声。
周りも、見て見ぬふりをしていた。
__体育の授業が終わって、更衣室に戻ったとき。
『え』
下着が見えそうな丈までハサミで切られた制服のスカート。
手が震える。
提出物のお金がないと騒ぎになれば、あたしのせいにされた。
『え〜宮本さんじゃない?』
息が詰まるような日々。
いつまで続くんだろう。
