……今日こそは、話しかけるぞ……


友だちを作るんだ。




『おはよう……』


友だちと話している女の子に後ろから声をかけてみるけど、返事はない。


……あれ。

もしかして、聞こえなかった?


よし、もう1回。


『おはよう……!』


さっきりより大きめの声で話しかけてみる。


やっぱり返事はない。


『あ、トイレ行こ〜』


その子は、周りの友だちと一緒に教室を出ていく。


『あっ……』



なんかしちゃったかな……

そうだとしたら、理由を聞かないと。



でも、その日から、あたしは1人になった……___





教室に入れば、ひそひそと話す声が聞こえた。


あたしに話しかける人は誰もいなかった。


理由も分からないまま、毎日1人で過ごした。




陽には……言えなかった。



でも、そんな状況をいつまでも隠しておけるはずもなく……





『明日菜』

真剣な表情の陽に、バレてしまったんだとわかった。



『なあに?』


その表情に気付かないふりをして明るく返す。



『……なんで言ってくれなかったの?』


『なんの話……』

誤魔化そうとした。

だけど、陽の目が潤んでいるのに気付いてしまったらもう無理だった。


『陽……』



どうやら、うちのクラスにいる陽の友だちから状況を聞いたらしい。


今の状況を全部話すと陽は声を震わせて怒ってくれた。


『無視だなんて、ありえない……』


『でも、無視されてるだけだし、そのうち収まる思う』



『クラス違ってもあたしは味方だからね。なんかあったらすぐ言ってよ?』


『うん……ありがとね、陽』


きっと、そのうち状況はよくなる。

あたしはそう信じていた。