♡♡美桜side♡♡
校門へ続く道に足を踏み入れると、満開の桜並木が目に飛び込んできた。
突然、ひゅうっと強い風が吹き抜ける。
枝いっぱいに咲いた桜が一斉に舞い散って、世界が淡いピンク色に染まる。
「綺麗……」
思わず声が出る。
手のひらを広げたら、簡単に花びらを掴めそうで胸がふわっと高鳴る。
視界いっぱいに広がる花びらに思わず足を止めたそのとき——
「ちょっと待って」
不意に声をかけられて振り向くと、背の高い男の子が立っていた。
朝の光に照らされた黒髪は、キラキラと輝きながらさらりと揺れている。
すっと通った鼻筋。
涼しげな目元はどこか冷たそうで、どこか儚げ。
特別な空気をまとった存在感に、私は息を呑んだ。
その時、すっと私の髪に手が伸びる。
「はい」
一枚の花びら。
「あ、ありがとう……」
胸がドキンと高鳴る。
彼は少しだけ口元をゆるめると、「別に」とそっけなく言って、すぐに歩き去ってしまった。
私は、手のひらにのった桜の花びらをみつめる。
今にも消えてしまいそうに儚くて、美しい薄ピンク色の花びら。
なくしたくないな、と思って、そっとパスケースを取り出し、大切に花びらを挟み込んだ。
夢と同じぬくもりを感じた気がして——ドキドキがおさまらなかった。
私はしばらく、桜色の中で立ち尽くしていた……。
校門へ続く道に足を踏み入れると、満開の桜並木が目に飛び込んできた。
突然、ひゅうっと強い風が吹き抜ける。
枝いっぱいに咲いた桜が一斉に舞い散って、世界が淡いピンク色に染まる。
「綺麗……」
思わず声が出る。
手のひらを広げたら、簡単に花びらを掴めそうで胸がふわっと高鳴る。
視界いっぱいに広がる花びらに思わず足を止めたそのとき——
「ちょっと待って」
不意に声をかけられて振り向くと、背の高い男の子が立っていた。
朝の光に照らされた黒髪は、キラキラと輝きながらさらりと揺れている。
すっと通った鼻筋。
涼しげな目元はどこか冷たそうで、どこか儚げ。
特別な空気をまとった存在感に、私は息を呑んだ。
その時、すっと私の髪に手が伸びる。
「はい」
一枚の花びら。
「あ、ありがとう……」
胸がドキンと高鳴る。
彼は少しだけ口元をゆるめると、「別に」とそっけなく言って、すぐに歩き去ってしまった。
私は、手のひらにのった桜の花びらをみつめる。
今にも消えてしまいそうに儚くて、美しい薄ピンク色の花びら。
なくしたくないな、と思って、そっとパスケースを取り出し、大切に花びらを挟み込んだ。
夢と同じぬくもりを感じた気がして——ドキドキがおさまらなかった。
私はしばらく、桜色の中で立ち尽くしていた……。


