「ふう…。」
ため息をつく。
まさか玄関で靴を選んでいる最中に父親のことを思い出すとは思わなかった。
だけど今日はもう、会社からのお祈りメールを見る必要がない晴れの日だ。
「人との出会いに恵まれたければ靴は綺麗なものを選びなさい。」
いつか見たドラマの主人公の母親が言っていたセリフだ。
だけど残念、今日は入社式だから派手な靴は履けない。
だからせめてもと思い、履いていく靴を少し磨く。
素敵な出会いがあるようにというおまじないを靴にしているようで気持ちが華やぐ。
私がドラマの主人公だったらこんなおまじなおをしなくても出会いに恵まれているかもしれない。
だけれども私は今日履いていく靴におまじないをする。
ヒールの部分にだって抜かりなく。
「あ!いけない!もうこんな時間。」
そうやって念入りにおまじないをしていたらあっという間に時間が進んでいた。
きっとこれ以上、玄関で靴におまじないをかけていたら素敵な出会いどころか入社式に遅れる。
そうに違いない。
それだけはとても確信できた。
お祈りメールを散々貰った私でもだ。
そう思った瞬間、私は走り出した。
おまじないをかけた靴を履いて玄関を飛び出した瞬間、なんでもできる気がした。
どうやら私は祈られるより走る方が好きらしい。
そうやって思いながらずいぶんと走った。
途中でこけなかったのはやっぱり靴におまじないをかけたからなのかなと思ったりもする。
しかもそれだけでなく、嬉しいことは続く。
ふと見た腕につけている時計。
そこの長針がさす数字を見るとなんとまだ入社式まで時間に余裕があったのだ。
「やっぱり靴におまじないをかけたからね。」
私は気分が良くなり、近くにあった喫茶店に入った。
喫茶店には私と同い年くらいの人たちがいて、どうやら彼らも入社式に行く様子。
おまじないを靴にかけたからなのか、喫茶店にいた入社式のメンバーは綺麗な人が多かった。
美しくカールされた長いまつ毛、桃色の頬、スッとした鼻筋、プックリとした唇。
シワ1つないスーツにスラッとした手足。
靴におまじないをかけたから素敵な出会いに恵まれたのもあるかもしれない。
しかしながら、やはり合格した会社が美容系のところというのもある気がする。
その人の瞳には美しい桜の木が映っていた。
実を言うとこの喫茶店からは駅前に植えられた美しい桜の木が見えるのだ。
美しい人と桜の木のコラボに思わず目を奪われる。
そんなコラボを横目に飲むコーヒー。
格別以外の言葉が見つからない。
「よし。出るか。」
幸先の良いスタートをきれたと我ながら思った。
喫茶店のドアを開けると桜の木がより近くに感じられる。
少し風が吹いているからか桜の花びらがコンクリートの上にパラパラと落ちていた。
そんな風景ですら幻想的にうつるから私は昔から桜が好き。
気分が良かった私はそのままおまじないをかけた靴を履いて歩を進める。
すると信号にさしかかり、青になるのを待つことにした。
立ち止まるとより一層、春の匂いがしてとても気分が良かった。
「なんて良い日なんだろう!」
少し伸びをする。
するとその時。
「うわ!」
何かが背中にぶつかったのだ。
一体なんだろうとまぬけな声をあげたあとに後ろを振り返る。
するとそこには夢で見た彼がいた。
「え。嘘…なんでここに?」
心のなかでそう思った。
夢で見た時と変わらない端正な顔つき、パッチリとした目、スッとした鼻筋に小さめの唇。
スラッとした長い手足がなんとも特徴的な男性だ。
高校生の頃から見ていた夢が今まさに目の前に広がっている。
私がそんな彼をボーッと見つめていると彼の方から声をかけてきた。
「お怪我はありませんか?」
紳士的な声が胸にじんわりと響く感触がした。
「お怪我はありませんか?」なんてドラマの世界でしか聞いたことない言葉だ。
私が彼の声に惚れ惚れしていたら彼は私に手を差し伸べてコンクリートの地面から引き上げてくれた。
桜の花びらがタイミングよくスッと流れてきてなんともドラマチックだ。
「やっぱり今日はツイている。」
心のなかでそう思っていると彼は私に名刺を渡してきた。
「それじゃ。」
そう言って視界のなかからフェードアウトしていく彼。
一瞬の出来事だったがその日のなかで1番満たされた時だったんじゃないかと思う。
私は彼がくれた名刺に目をやる。
すると驚くべきことが判明した。
「え!嘘!?」
なんとあの彼はこれから向かう会社の社長だったのだ。
私は驚愕しながらあたりを見回すも、もう既にあたりには彼の姿はなかった。
ため息をつく。
まさか玄関で靴を選んでいる最中に父親のことを思い出すとは思わなかった。
だけど今日はもう、会社からのお祈りメールを見る必要がない晴れの日だ。
「人との出会いに恵まれたければ靴は綺麗なものを選びなさい。」
いつか見たドラマの主人公の母親が言っていたセリフだ。
だけど残念、今日は入社式だから派手な靴は履けない。
だからせめてもと思い、履いていく靴を少し磨く。
素敵な出会いがあるようにというおまじないを靴にしているようで気持ちが華やぐ。
私がドラマの主人公だったらこんなおまじなおをしなくても出会いに恵まれているかもしれない。
だけれども私は今日履いていく靴におまじないをする。
ヒールの部分にだって抜かりなく。
「あ!いけない!もうこんな時間。」
そうやって念入りにおまじないをしていたらあっという間に時間が進んでいた。
きっとこれ以上、玄関で靴におまじないをかけていたら素敵な出会いどころか入社式に遅れる。
そうに違いない。
それだけはとても確信できた。
お祈りメールを散々貰った私でもだ。
そう思った瞬間、私は走り出した。
おまじないをかけた靴を履いて玄関を飛び出した瞬間、なんでもできる気がした。
どうやら私は祈られるより走る方が好きらしい。
そうやって思いながらずいぶんと走った。
途中でこけなかったのはやっぱり靴におまじないをかけたからなのかなと思ったりもする。
しかもそれだけでなく、嬉しいことは続く。
ふと見た腕につけている時計。
そこの長針がさす数字を見るとなんとまだ入社式まで時間に余裕があったのだ。
「やっぱり靴におまじないをかけたからね。」
私は気分が良くなり、近くにあった喫茶店に入った。
喫茶店には私と同い年くらいの人たちがいて、どうやら彼らも入社式に行く様子。
おまじないを靴にかけたからなのか、喫茶店にいた入社式のメンバーは綺麗な人が多かった。
美しくカールされた長いまつ毛、桃色の頬、スッとした鼻筋、プックリとした唇。
シワ1つないスーツにスラッとした手足。
靴におまじないをかけたから素敵な出会いに恵まれたのもあるかもしれない。
しかしながら、やはり合格した会社が美容系のところというのもある気がする。
その人の瞳には美しい桜の木が映っていた。
実を言うとこの喫茶店からは駅前に植えられた美しい桜の木が見えるのだ。
美しい人と桜の木のコラボに思わず目を奪われる。
そんなコラボを横目に飲むコーヒー。
格別以外の言葉が見つからない。
「よし。出るか。」
幸先の良いスタートをきれたと我ながら思った。
喫茶店のドアを開けると桜の木がより近くに感じられる。
少し風が吹いているからか桜の花びらがコンクリートの上にパラパラと落ちていた。
そんな風景ですら幻想的にうつるから私は昔から桜が好き。
気分が良かった私はそのままおまじないをかけた靴を履いて歩を進める。
すると信号にさしかかり、青になるのを待つことにした。
立ち止まるとより一層、春の匂いがしてとても気分が良かった。
「なんて良い日なんだろう!」
少し伸びをする。
するとその時。
「うわ!」
何かが背中にぶつかったのだ。
一体なんだろうとまぬけな声をあげたあとに後ろを振り返る。
するとそこには夢で見た彼がいた。
「え。嘘…なんでここに?」
心のなかでそう思った。
夢で見た時と変わらない端正な顔つき、パッチリとした目、スッとした鼻筋に小さめの唇。
スラッとした長い手足がなんとも特徴的な男性だ。
高校生の頃から見ていた夢が今まさに目の前に広がっている。
私がそんな彼をボーッと見つめていると彼の方から声をかけてきた。
「お怪我はありませんか?」
紳士的な声が胸にじんわりと響く感触がした。
「お怪我はありませんか?」なんてドラマの世界でしか聞いたことない言葉だ。
私が彼の声に惚れ惚れしていたら彼は私に手を差し伸べてコンクリートの地面から引き上げてくれた。
桜の花びらがタイミングよくスッと流れてきてなんともドラマチックだ。
「やっぱり今日はツイている。」
心のなかでそう思っていると彼は私に名刺を渡してきた。
「それじゃ。」
そう言って視界のなかからフェードアウトしていく彼。
一瞬の出来事だったがその日のなかで1番満たされた時だったんじゃないかと思う。
私は彼がくれた名刺に目をやる。
すると驚くべきことが判明した。
「え!嘘!?」
なんとあの彼はこれから向かう会社の社長だったのだ。
私は驚愕しながらあたりを見回すも、もう既にあたりには彼の姿はなかった。

