なんとか無事間に合い、のんびり学校への道を歩く。

「わ、かわいい!」

「えへへ~、お母さんが買ってくれたんだ!」

小学生くらいの女の子がニコニコ仲良しそうに話している。

褒められている女の子の頭には、ピンク色のハートが乗ったリボン

「いいな…」

思わずボソッと、声に出た。

 そしてすぐに、言ったことを後悔した。

だって、こんなかわいくない私が、可愛いものに憧れてるなんて、みっともないもの。

私は隣からじりじりと視線を感じた。

隣にいたあいくんが、私の目をまっすぐに見ていた

「あいりにも、似合うよ」

「え…」

思わず、声が出た

驚いたのと、好きな人に言われたことの喜びで。

そして、すぐに思い直した。

あいくんは優しいから。

私が傷つかないようにしてくれてるんだって

恥ずかしい。そんなことにすぐに気づけなかった私も、

身の程知らずな思いも、ここまで大きくなった恋心も。

「.....ありが、とう」

かすれた小さな声が、風とともに消えていった。