「あった。はい、これも」
小さな紙に、大切に包まれている。
そっと開くと、中にはまだ新しい四つ葉のクローバーがあった。
「それね、今日学校で見つけたの。栞にしようと思ってたんだけど、あなたにあげる」
「……なんで俺に?」
「前に本で読んだの。四つ葉のクローバーの花言葉のひとつが、"約束"なんだって。あなたがそのハンカチを私に返してくれるってことは、またあなたに会えるってことでしょう?だから、またいつかあなたに会えるように、約束の印として」
「受け取ってくれる?」て首を傾げる華子に、俺は小さく頷いた。
「…あのさ」
「華子ー!もう、どこ行ってたのよ!」
俺が言おうと口を開いた時、公園の入り口で、誰かの声がした。
「お母さん!」
相当うれしかったのだろう。
華子が、ブランコから立ち上がって、母親の元へと駆け出す。
そして、途中で足を止めて振り返った。
「ありがとう!また、会おうね」
最後に、あの笑顔を見せて。
帰る時も、華子は俺に大きく手を振っていた。
それが華子との出会い。
そして俺にとっての初恋だ。


