クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


「チッ」


日向ちゃんと目が合った中里さんは小さく舌打ちをして、私をギロリと睨んだ。


「…行こ」


一緒いた女子たちに声をかけると、持っていた本を床に
放った。


私はそれを慌てて拾う。


ページが折れたり破れていないか、細かくチェックする。


とりあえずどこにも傷がついてないみたいで、ほっと安堵のため息を漏らす。


そして、日向ちゃんを見た。


「お、おはよう、日向ちゃん」


「もう、華子(かこ)、おはようじゃないわよ!毎回毎回…たまにはガツンと言ってやりなさいよ!」


とても私には無理な言葉に、「はは…」と、誤魔化すような笑いを浮かべるしかない。


そんな私に、日向ちゃんは大きくため息をつく。