「よし!これで大丈夫」
立ち上がった華子に、俺は小さな声で「……ありがとう」と、慣れない言葉を口にした。
「どういたしまして」
再びブランコに座る華子。
俺は華子が握っていたハンカチを見た。
「…それ、洗って返す」
「ううん、大丈夫」
自分で言って、はっとした。
この子とは今日きりで、もう会えなくなるのだと
そんな俺の気持ちを汲み取ったように、華子は「…やっぱり」と、何かを思い立ったように言った。
「やっぱり、ハンカチ洗って返してもらおうかな。…はい」
差し出されたピンクのハンカチを受け取る。
「あと、もうひとつ」
ハンカチを俺に渡した華子は、まだ渡すものがあるようで、手提げの中を覗いている。


