クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!



「お父さんとお母さんがせっかくつけてくれた名前だけど…自分には合わない気がしちゃうの」


そんなへんなあだ名をつけた馬鹿どもは、こいつのことを何も知らないに違いない。


こいつが笑った瞬間、周りに花が咲いたみたいに暖かくて、くすぐったい気持ちになった。


こいつの笑顔に、ぴったりの名前だと俺は思う。


しばらくの沈黙の後、今度は華子が口を開いた。


「……この傷、喧嘩でもしたの?」


図星をつかれて、俺は押し黙る。


「何か、嫌なことされたの?」


心配するように眉を下げて聞く華子に、俺は「まあ…」と言葉を濁して答える。


「……腹立つこと、言われたから」


ぽつりと口からこぼした言葉に、華子は「そっか」と小さく返した。