「…もう泣くな。お前の親、そのうち探しにくるだろ」
「…た、多分」
俺はそいつの隣の空いたブランコに座った。
そいつは少しびっくりしたように目を見開いたけど、やっと落ち着いたのか、ごしごしと目を拭いている。
「お前の親が来るまで、俺が一緒にいてやる」
「……え」
俺は照れ臭さを紛らわすように、ブランコを少し揺らす。
でも、その子がじっとこっちを見つめているのを感じて、「な、何だよ」と無愛想な言葉を漏らした。
「………血、出てる」
きっと、口の切り傷が目に入ったのだろう。
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