(蓮side)


真っ暗な自室に入って、適当に荷物を放る。


俺は電気をつけないまま、月明かりだけが差し込む部屋でひとり、ベッドに身を投げる。


おでこに腕を置きながら、薄暗い天井を見つめた。


「坂本 華子……」


会いたくてたまらなかった女の名前を、口にする。


まさか、こんなにも突然、あいつと触れ合う機会がくるとは思ってもいなかった。


頬に触れた柔らかさを思い出すたびに、息が詰まる。


消えない余韻が、心をざわつかせていた。