低く落ち着いた声が耳に届いて、頬が一気に熱を帯びていく。


頭が真っ白になったまま、私はただ彼を見上げるしかなかった。


「買い物したら、真っ直ぐ帰れよ」


そっけない口ぶりなのに、どこか優しさがにじんでいる。



プリントを抱えたまま歩き出す綿谷くんの背中が見えなくなるまで、私は茫然と、その場に立ち尽くしていた。