私に一歩近づいて、首を傾けたと思った次の瞬間ーーー
頬に優しく、やわらかな唇が触れた。
一瞬、時間が止まったみたいで、心臓の音だけがやけに大きく響く。
「っ……!」
思わずぎゅっと目をつむる私に、綿谷くんはどこか余裕がないような吐息をついて、私から離れる。
「…華子」
微かに、私の名前を呼んだ気がした。
そのまま、なんだか熱っぽい瞳で、私の唇を指先でそっと撫でる。
そして、今日見ていた中で1番優しい笑みを浮かべた。
「お詫びとお礼は、これでいい」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…