「ち、違います!今のは、お母さんからで…その、買い物を頼まれて…」


「…ふーん」


まだ機嫌が悪そうな綿谷くんが、「あれは?」と、机の上にあるプリントを指差した。


「あ、あれは超特急で運びます。…あの、社会準備室ってどこにあるかわかりますか?」


プリントを運んだら読み終わった本を返して次の本を借りに図書館に行く予定だったけど、今日はそんな時間もない。


図書館は明日にしよう…


「あれ、俺が運んでおくから、坂本はもう帰れ」


綿谷くんの返事を待っていた私は、思いがけない提案に、目を見開く。


「…え、あの、でも私が頼まれたものですし…綿谷くんに、これ以上迷惑をかけるわけには…」


階段から落ちそうになった私を助けてくれて、その上ケガまでさせちゃって…もうすでに迷惑をかけまくっているのに。


「俺、迷惑なんて思ってないけど。むしろ、いい機会だったし」


綿谷くんの言葉の意味がよくわからなくて、私は首を傾げる。