「あの上、屋上だけど」


「ええっ!?」


思わず、大きな声を出してしまった。


綿谷くんは小さく肩を揺らして、くすくすと笑っている。


…こんな風に笑う人なんだ。


なんて関係ないことを思ってしまって、違う違う!と頭の中でそれをかき消す。


屋上にプリントを運ぼうとしてたなんて、はたから見ればおかしいに決まってる。


「ほんと重症なんだな、方向音痴」


「うぅ…それは忘れていただけると…」


恥ずかしさのあまり俯く私に、綿谷くんはまだ体を小刻みに揺らしていた。