クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!



「…慣れてるんだな」


「……え?」


そんな沈黙を破った綿谷くんと、目が合う。


「……あ、私の母が看護師で。私、小さい時よく転んでは傷を作って、いつも母が手当てをしてくれたんです。それを、よく見てたので」


……あれ?


そんな会話に、私は何かを思い出す。


こんなやりとり、ずっと前にもあったような…


まだ、私が小学生の頃で……よく思い出せない。


「…お前さ、あんなプリントの束持って、あの階段で何してたわけ?」


「…えっ…そ、その、社会準備室を探してまして…」


私の答えに、綿谷くんがぷっと吹き出した。