クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!



「あ、あの名前…まだ聞いてなかったと思って」


「……名前?」


痛みではなく、私の言葉に眉を動かした。


あ…余計なこと、聞いちゃったかな…


"お前に教える理由はない"とか返されるかと思っていたけど…


「…綿谷 蓮(わたや れん)」


そんなことは私の勝手な想像で、結構すんなり教えてくれた。


「…綿谷くん、ですね」


綿谷くんは手当てされている腕を、じっと見つめている。


あまり口数は多くないみたい。


でも綿谷くんとの間にある沈黙は、なぜか、どこか落ち着いていられる。