本来なら私が先頭を行くはずなのに、なぜか私が案内される形になってしまった。
「…お前、方向音痴なのか?」
「う……はい。すみません…」
痛いところをつかれて、私はうなだれるしかなかった。
本当に情けないし、恥ずかしい。
「ふっ……ほんと、昔のまんまだな…」
ひとりうなだれる私は、彼がそう呟いたのに気が付かなかった。
「先生、不在……」
やっと到着した保健室には、「養護教諭 本日不在」の文字が書かれていた。
今日に限って、先生がいない。
開いていないと思いつつもドアに手をかけると、鍵は開いていた。
先生はいなくてももし生徒が来る時のために、鍵は開けてあるのだろう。


