クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!



「あの、保健室行ってちゃんと手当てしてもらいませんか?」


「…別にいいけど」


よかった…


「じゃ、じゃあ、行きましょう!」


そう言って歩き出すと、少し後ろからついてきたその人に、「おい」と呼び止められた。


「それ、どっかに運ぶ途中だったんだろ。俺に構っててもいいのか?」


「…あ、私は全然。これは後ででも、全然大丈夫なので」


私を庇ってケガまでさせたのに、プリントを運んでいる場合じゃない。



こんな状況でも私を気遣ってくれるような言葉に、少しだけびっくりした。


やっぱりこの人、怖い見た目に似合わない優しさを持ち合わせているよう。