綿谷くんが一歩私に近づいたと思ったら、長い腕がわたしの腰に回された。 一気に距離が無くなって、多分、心臓の音が聞こえている。 「あのさ…さっきからずっと待ってんだけど」 「…何をですか?」 コツンとおでこを合わせて、ちょっと不満げに顔を覗き込まれる。 「とぼけんな。さっきあいつに言ってただろ、俺のことどう思ってるか」 「へっ!?もしかして、聞こえて…」 ギリギリ聞かれていなかったと思っていたのは私の思い込みで、バッチリ、聞こえていたらしい。