ぽつりと、声がこぼれた。 「……あ?」 中里さんの足が止まる。 自分でも、無意識なうちにこぼれ落ちた言葉だった。 ……怖い。 心臓はうるさいくらいに鳴っているし、指先も震えている。 それでも、今度は俯かなかった。 「……綿谷くんに近づくなって言われるの、いやです」 きっと私が初めて返した反論に、驚いているのだろう。 一瞬怯んだような中里さんは、すぐにはっとこちらを睨んだ。