その人は周囲に散らばったプリントに視線を移す。


顔を動かした時に、耳についていたピアスがきらりと光った。


ひとまず、お互い大きなケガはなさそうでよかった…


小さく、安堵のため息をつく。


そして、散らばったプリントを一枚一枚拾っていく。


ちらりと彼を見ると、彼もまた、手伝うようにプリントを拾ってくれていた。


ふと、捲っていた袖に、微かに血の跡が覗いているのが目に入った。


「…ん」


「あ、ありがとうございます…」


渡されたプリントを受け取って、私は「あ、あのっ!」と声をかける。