私が階段から落ちた直後はすこし歪ませていた表情が、今は涼しい顔つきに戻っていた。


「お前はケガしてないかって、聞いてんだけど」


私は何度か瞬きを繰り返して、息を呑む。


さっきは慌てに慌てすぎて気づかなかったけど、びっくりするくらい、整った顔立ちだ。


切れ長の瞳と視線がぶつかって、私ははっとした。


「あ…私は大丈夫です。本当にごめんなさい…あの、ケガとか…」


「俺はなんともない。それよりも、お前にケガがなくてよかった」


クールな目元がふっと緩んだように見えて、少しだけドキッとした。


さらさらと流れるような黒髪に、すっと通った鼻筋。


バランスの良い、長い手足。
身長は立ち上がったら180センチは超えそう。