「そんで、何を悩んでるわけ?」


ケーキを食べ終わった日向ちゃんはフォークを置いて、まっすぐに私と向き合った。


「その……そんなに深刻な悩みとかじゃ全然ないんだけど…」


「だけど?」


エスパーなみに鋭い日向ちゃんに隠し事は通用しない気がして、私は言葉を続けた。


「その、綿谷くんの誕生日がもうすぐで…でも綿谷くんのお家の人は忙しくてなかなか帰って来れないから、誕生日はいつもお祝いも何もしなくて…それってちょっと寂しいなって思って」


そこまで言ってから、私は小さく息を吸った。


「綿谷くんには、いろいろお世話になったし……ちょっとした気持ちくらいにはなっちゃうけど、何か渡したいなって。でも、男の子にプレゼントなんてしたことなくて、何をあげたらいいのか全然わからなくて…」


日向ちゃんは「なるほどね」と小さくうなずいて、少し考えるように顎に手を当てた。