階段の曲がり角から足音がした。


「よかった!あの人に聞いてみよ……へっ!?」


慌てていたせいで、次の一歩で足がもつれる。


プリントが宙に舞うのと同時に、体がふわりと前に傾く。


視界がぐらりと揺れて、階段の下が迫ってくるのがわかった。


頭の中が真っ白になる。


「ーーっ!」


私は反射的に、ぎゅっと目を瞑った。


その瞬間、強い力に腕がぐっと引き寄せられる感覚。


ドサッと、鈍い衝撃を全身に感じる。


全身に広がる痛みを覚悟していた。


していたのに…


あ、あれ…?


「痛く、ない……?」