「ほ、ほんとに違くて!」


「誤魔化したってもムダムダ」


日向ちゃんには何でもお見通しらしい。


……私ってそんなにわかりやすいのかな…


「ついに、華子にも春が来たのねー」


日向ちゃんはなぜかひとり納得したように、目の前のケーキを頬張る。


「…春?」


あと数日で6月に入るし、季節的にはもうすぐ夏では…?


頭の中にはてなマークを浮かべた私は小さく首を傾げた。


「…ったく、綿谷は何やってんのよ。言わなきゃ、華子は絶対気づかないんだから」


日向ちゃんは何やらひとりごとを口にしながら、最後のひと口を頬張った。