「…玄関までしか行けねーけど、送る」


「あ、大丈夫なので、綿谷くんはちゃんと寝ててください」


断る華子のおでこに、自分のおでこを押し当てる。


「さっきより熱、下がってんだろ。だから平気だ」


「…あ、あのっ」


顔を真っ赤に染める華子に、俺はふっと笑った。


ころころ変わる反応はいつ見ても面白い。




「じゃあ、ちゃんと温かくして休んでくださいね」


玄関先で振り返る華子が、にこっと微笑んだ。


「…ああ。色々サンキュ。それとーー」


言葉を続ける俺を、華子が見上げる。



「これから、俺のこと避けんなよ」


そう言うと、華子は一瞬固まったように目を見開く。



「はい…」



ほんの少し微笑む華子の表情が、どこか嬉しそうに見えた。