「俺の方見ろよ」


ゆっくりと顔を上げた華子と、視線がぶつかり合う。


「からかってるわけねぇだろ。俺がこうやってお前に触れるのは…」


その先の言葉を噛みしめるように、俺は息を吸う。


「お前のことがーー」



そう言いかけたとき、華子のスマホの通知音が鳴った。


「…お母さんだ」


俺は言いかけた言葉を飲み込んで、小さくため息をつく。


タイミング悪過ぎだろ…


「わ、私もう帰らないと…」


これ以上時間を取るわけにもいかないから、仕方ない。