そんなささいな仕草も、全部が愛おしくて仕方がない。


「昨日…なんであんなこと言ったのか、お前がちゃんと話すまで今日は返さないから」


「…それは…」


顔を上げた俺は華子を見る。


華子は少し困ったように俯きながら、口を開いた。


「…綿谷くんは学校で一番人気があって、何でも完璧ですごい人ってみんなが思ってて。でも私は得意なことがあるわけでもないですし、勉強も運動も中途半端で…地味で、目立たないだけの存在なんです。だから、そんな私と一緒にいるところを他の人に見られたら、綿谷くん迷惑をかけてしまうと思ったから…」


華子の声は途切れ途切れで、だんだん小さくなっていく。


「…俺のことが、嫌いになってあんなこと言ったんじゃないんだな?」


そう問いかけると、華子はハッとしたように顔を上げた。


「ち、違います…!嫌いになったとかじゃなくて」