クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!



額にかかった華子の髪を、そっと指で払う。


長いまつ毛が微かに動き、自然に頬に触れた指先に、胸がざわつく。


…もう、我慢できない。


風邪を移すとか、そんな理屈は頭の片隅にしか残っていない。


抑えに抑えてきた衝動が、今、理性の壁を簡単に越えてしまった。




俺はため息を漏らすように、そっと華子の唇に自分の唇を重ねた。