恥ずかしさは感じるのに、なぜかこの状況を嫌だとは感じない。
むしろ、もう少しだけこの時間が続けば……
なんて、ありえない考えが浮かんで、頭の中でそれをかき消した。
「……華子」
それなのに、私の名前を呼ぶ綿谷くんの声には、何か魔法があるんじゃないかってくらい、私の心臓をうるさくする。
だんだんと、綿谷くんの顔が近づいてきて、距離がなくなる。
そのまま、綿谷くんに身を任せそうになった時ーーー。
私は、はっと我に返った。
「は、離してっ」
力一杯、綿谷くんの腕を振りほどく。
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