悪役令嬢の逆襲

 数週間が経過した。

 あれ以来直接王子と顔を合わせずにいたので、ある意味ほっとしていたところもあるのだが……それではこのまま終われないので、再び会いに行った。

 今回こそ本当の想いを伝えなければ……。

 謁見室に入り、そこにいた王子の方に視線を向ける。

 何だか落ち着きが無さそうな様子だった。

 彼もイザベルと同じように思っていたようだ。

「ごめんなさい。やはり断らせて頂きたいのですが……」

 勇気を振り絞って言ってみたが、王子は悲しそうにそして強い口調で言う。

「そんなことダメだ!結婚すると言ったら結婚するんだ!!」

 強く迫られ怯んでしまいそうだが、負けじと抵抗した。

「どうしても嫌なんです!お願いですから、諦めて下さい!!あなたがマリアンヌとキスをしていた理由はなんですか!?」

 そう叫び声をあげたら扉が勢いよく開き、マリアンヌがタイミングよく入ってきた。

 ありえないが、聞き耳でも立てていたのだろうか。

「あの時は申し訳ございません。ただ転んでしまって、たまたま唇に合わさってしまっただけですわ」

 必死に弁解する彼女を見て、同情心が生まれてしまい、ますます困ってしまう。

「それについては謝りますけど、とにかく婚約はしません!!」

 真剣な表情で、断固拒絶の意思を表す。そしてイザベルはそれを信用する。

 彼女とはそんなに仲は良くないが、真剣な眼差しが心に響いたのだ。

「わかりました。では私フィリップス王子の妻として宣言致します」

 そしてイザベルは宣言した。

「私達は結婚致します!」

 大きな声で言うと、周りの全ての人たちが黄色い歓声を出してしまうくらい大きな騒ぎになった。

 結婚する理由は権力が得られる理由と、王子と実は話が合ったから。

 あの時話してみて、趣味がピッタリと一致していた。


 フィリップス様は嬉しそうに喜び、駆け寄ってこられる。肩に腕をかけてきた。

「これで俺達は夫婦だ!」


 それから数ヶ月後には、正式な婚姻式が挙行される日程調整が行われた。

 結婚式会場では、盛大な祝賀ムードが溢れて皆幸せそうな様子を漂わせることだろう。

 そんなことを考えていた。

 一人だけ、寂しい思いを抱いている人物がいることを知らぬまま。