お会計を済ませ、私はドアのところまで花束を持っていき、彼がビニール傘を開いた時に突風が⋯⋯。

一瞬にして、傘は壊れてしまった。

「あーあ、まあいいや。じゃあ⋯⋯」

「あの⋯⋯ちょっと待って下さい!」

反射的にしたことなので、自分でもどうしてそうしようと思ったのかわからないが、私は自分の傘を取ってきて、花束と一緒に渡した。

「えっ?これ、あなたの傘なんじゃ⋯⋯?」

驚いたように問われたが、

「いえ、店のものですから」

咄嗟にそんな嘘をついた。

「そうですか?じゃあ、お借りします。どうもありがとう」

そう言って微笑んでくれた。

「ありがとうございました」

青い傘を差した彼の後ろ姿が小さくなっていくのを、ただぼんやりと見ていた。