店主の男性の訝しげな視線にも負けず、彼女は何処にいるのか聞くと、ますます怪しまれ⋯⋯。

流石に参っていたとき、店の奥から中年女性が出てきて、

「もしかしてあなた、美花ちゃんに花束を贈った人？」

そう聞かれ、どうして知っているのかと逆に聞くと、その女性はおかしそうに笑って、美花ちゃんならもう帰ったという。

翌日の昼間なら居るから、とのことだったので、しつこく僕は店を訪ねた。

彼女がかなり無理して微笑んでいるのは明らかだったが、仕事が終わったあとに、少しだけでいいから話したいと粘った。

少しだけのはずが、近くのカフェで話し始めると、時を忘れ、あっという間に閉店時刻に⋯⋯。

彼女も、心を開いて自分のことを色々話してくれた。

遅いので家まで送り、彼女のお母さんにも遅くまで引き留めたことを詫びた。