窓の外は雨。

初めて此処へ来た時もどしゃ降りだったが、今、僕の心は晴れ渡っている。

「わぁ⋯⋯理仁さん、いい感じね!」

僕は、美花ちゃんの勤める店で、花束の作り方を教えてもらっていた。

「そうかな?でも、なんかバランス悪くない?」

「大丈夫。こんなに心がこもっているんだし」

「喜んでくれるかなぁ」

「もちろんよ!」

母の墓前で偶然会ったあの日から時は流れ、今こうして僕たちは自然に微笑み合っている。

明日、僕はこの花束を抱え、

「生涯をともにする人が出来ました」

母に、そう報告しに行く。


あの日⋯⋯僕に背中を向けて去っていった彼女はとても悲しげで、何故かもう二度と会えない気がした。

翌日の仕事のあと、急いで店をたずねたが、彼女は居らず、何しろその頃は名前すら知らなかったので、どうしていいかわからずにいた。