Life Is a Flower

「僕は自分を責め続けました。初めてあなたのお店に行ったときも、まだ暗闇のなかに居ましたが⋯⋯花に囲まれて笑顔で働くあなたを見ていたら、束の間でも癒されて。しかも、あなたは初対面の僕に傘を貸してくれた。その結果、自分がずぶ濡れになって、風邪までひいたのに」

「違います!私は、あなたが思うような純粋な人間ではありません!」

「そりゃあ⋯⋯僕はあなたの名前すら知りません。私の何が判るんだと言いたくもなるでしょう。でも、僕が店に通い続けたのは、あなたの作る花束が欲しかっただけじゃない、あなたが暗闇のなかにひとすじの光をくれたから⋯⋯」

何も返す言葉が見つからない⋯⋯。

しかし、この言葉の総てが真実ならば⋯⋯光をくれたのは、彼のほうだ。

私は少しだけ微笑むと、もう一度彼に背を向けて歩き出した。

「待って!せめて名前だけでも教えてくれませんか?⋯⋯僕は、大河内理仁といいます!」