Life Is a Flower

「そんな顔しないでください。あなたの作ってくれたこの花束、きっと喜んでいるはずですから」

「亡くなったかたへのお花だったんですか⋯⋯?」

「ええ。去年、唯一の家族だった母を亡くしたんです」

彼は、まるで罪を告白するように語る。


私と同じように母子家庭で育った一人っ子の彼だが、お母様は、ある時期から精神的に患い始めた。

面倒をみていた彼も、どんどん追い詰められ、

「もう、いい加減にしてくれ⋯⋯!」

思わず、そう呟いた翌日、お母様は不慮の事故で亡くなったという。

「事故扱いになっていますが、僕はそうではないことぐらいわかっています。サガンの小説、知ってますか?」

私は、黙って頷いた。

期せずして、私がかつて、母に、

「再婚してもいいんだよ」

と言ったのは、丁度「悲しみよこんにちは」を読み終えた頃だったから。