私は、聞くべきではなかったと、心底悔やみながら⋯⋯しかし、これで諦めがつくと自分に言い聞かせた。
それからも彼は、やはり定期的にやって来ては、私に花束を作って欲しいという。
私は、一度芽生えてしまった気持ちを殺すように、彼の大切な人なら間違いなく素敵な人に違いないのだから⋯⋯と、真心を込めて花束を作り続けた。
これだけ面識はあっても、私は彼の名前すら知らないし、相手にしてもそうだ。
名前も知らない相手に、初めて恋心を抱いてしまった愚かしさには笑うしかないだろう。
初恋は実らないというのはよく聞く。
心の成長痛だとでも思えば楽になれるはず。
しかし、一人になった時に、本当は醜い感情を抱えている事実にも、気付きたくなくても思い知らされる。
私は、自分を無力で情けない人間だとずっと思ってきたけれど、せめて厭な人間にはなりたくないと思っていたのに。
それからも彼は、やはり定期的にやって来ては、私に花束を作って欲しいという。
私は、一度芽生えてしまった気持ちを殺すように、彼の大切な人なら間違いなく素敵な人に違いないのだから⋯⋯と、真心を込めて花束を作り続けた。
これだけ面識はあっても、私は彼の名前すら知らないし、相手にしてもそうだ。
名前も知らない相手に、初めて恋心を抱いてしまった愚かしさには笑うしかないだろう。
初恋は実らないというのはよく聞く。
心の成長痛だとでも思えば楽になれるはず。
しかし、一人になった時に、本当は醜い感情を抱えている事実にも、気付きたくなくても思い知らされる。
私は、自分を無力で情けない人間だとずっと思ってきたけれど、せめて厭な人間にはなりたくないと思っていたのに。



