きっと母は一生、父だけを愛し続けるのだろう。

私の幼い頃や、それよりもっと古いアルバムを見たことがあるが、両親とも本当に幸せそうな顔をしていた。

色気より食い気と言われた私は、片想いすらまだ知らない。

ちょっと奥手すぎるような気もするが、焦ってどうなるものでもないと思っている。

ただ、どうしてだろう。

昨日のお客様のことが、何故か頭から離れてくれない。

さっき見た夢にしても、あれは何?願望?

そう思うと、なんだか恥ずかしい⋯⋯。

しかし、本音を言えば、また来てくれたらいいなと思っている。





1日ゆっくりしたら、もう熱は下がっていたので、私はバイトに行った。

「美花ちゃん、声がガラガラだけど⋯⋯」

オーナーの奥さんが心配そうに声をかけてくれたので、

「中村あゆみみたいですか?」

冗談で誤魔化した。